01年3刷。発売すぐの増刷です。 カバーに経年劣化があり、背と裏表紙に焼けによる色落ちがありますが、グラビア面は良好です。 夏目の没後、追悼、回顧写真集は数多く刊行されていますが、この一冊は写真家の田川清美の撮影によることが特筆すべき点です。 田川はさほどの名声を勝ち得ずに、つい先頃鬼籍に入りましたが、最も夏目を撮ったカメラマンでした。 この写真集発売の際の広告の文句は「1975～1985年までに撮影したものを、数多くの未発表写真も含め収録する」ですが、これは夏目の活動した時期の全てに渡ります。 田川は夏目のデビュー時期に偶然立ち会う機会を得てから、撮り続けることをライフワークに決めたといいます。 それは夏目の死によって永遠の中断を迎えたのですが、しかし、田川の手には膨大な夏目のフィルムが残ったという訳です。 それが陽の目を見た、といった意味でこの一冊は特別な意味を付与されています。 サンプルの最後はカネボウのCM撮影時の一枚ですが、これには続きがあり、胸を隠している腕が下に降りてしまいます。 田川と夏目の密接だった関係から遺族が許可したもので、バストトップの写ったショットが３枚ほど収められています。他の写真集にあり得ない点の筆頭でしょう。 夏目自身は状況次第では、気合で裸になれるタイプだったと思われます。和田勉のNHKドラマ「ザ・商社」、五社英雄の映画「鬼龍院花子の生涯」と映像でそういった例がありました。両方とも周囲の要請に負けてではなく、自ら必要と判断して撮影を申し出たと伝わっています。 ある意味夏目の持つ個性を端的に表しているともいえ、田川が遺族に公開許可を願い出たのも功名心からだけではないと思われます。